知っ得豆知識

主な公的土地価格１

　国土交通省が２３日公表した０９年の『公示地価』は、住宅地と商業地の全国平均がともに３年ぶりに下落しました。『公示地価』は、全国２万８千の調査地点を不動産鑑定士が調べ、国土交通省の土地価格判定委員会が価格を判定します。１月１日時点の価格として毎年３月に公表されます。調査地点のうち、上昇は２３地点だけで過去最低となりました。全国平均の地価の下落幅は、住宅地が前年比3.2%（昨年は1.8%上昇）、商業地が4.7%（同3.8%上昇）と大幅な落ち込みとなりました。景気悪化を反映して、地価も総崩れの状態です。公表の目的は、土地取引や公共用地の買収指標とするためなどにあります。全国最高価格は３年連続で東京・銀座の「山野楽器銀座本店」でした。（但し、この価格は「自由な取引で通常成立する＝バーチャルな価格」といわれています）

　主な公的価格は他にもあります。次回は『基準地価』と『路線価』について配信します。

雇用の２００９年問題

　２００７年問題が終結するこの年に、あらたに『２００９年問題』が浮上しました。『雇用の２００９年問題』とは、（注：会計の２００９年問題、教育の２００９年問題などもあります）製造業の派遣社員が一斉に雇用契約の期限切れを迎え、「ハケン切り」が集中して、大量の派遣社員が失業する問題をいいます。派遣社員を請負と装って働かせる「偽装請負」が社会問題化した０６年、製造業の多くが「請負」を「派遣」に切り替えました。労働者派遣法では、派遣社員の勤務期間は連続３年間と決められています。そのため、一斉に“更新時期”が迫っているのです。派遣社員との再契約には３カ月以上のクーリング期間が必要です。そんなに間が空くと、工場などの製造がストップするため、雇用側は派遣から請負に切り替えるか、正社員にするかの選択を迫られていたのです。そんな時に世界大不況が押し寄せました。メーカーの多くが「ハケン切り」の絶好の口実を手にしたのです。

　この３月末で非正社員の失業者予測数は１５万８千人にも達するといわれています。（朝日新聞、１４日朝刊）一方で、全国の製造業の派遣・請負労働者は約１００万人。同じくこの３月末で失業者は４０万人に達するという見方もあります。（日本製造アウトソーシング協会調べ）

あらたな安全網

　現在、雇用保険に加入していない非正社員は１千万人に上るといわれています。当然、失業保険の受給対象にはなりません。前回配信（雇用の２００９年問題）のとおり、今月末には大量の失業者がでます。雇用保険の枠から外れた人が一気に生活保護になる可能性があります。既に、自治体によっては、窓口に『生活保護申請』者が長蛇の列を成しているそうです。０８年７月の速報値によりますと、生活保護世帯は１，１３３，８７２世帯、生活保護の総額は２兆６千億を超えています。

　失業手当を受けられない人に職業訓練中の生活費を給付する『求職者支援制度（仮称）』の創設が、あらたな安全網として期待されています。最大１兆円規模の基金を創設する予定です。

雇用調整助成金

　雇用調整助成金は、①休業（一時帰休）して、従業員に休業手当を支払った場合　②従業員の教育訓練を行って通常の賃金と概ね同じ額の賃金を支払った場合　③従業員を出向させて、出向前と概ね同じ額の賃金を支払った場合　などの処置を行った事業主に対して支給される助成金です。事業主の賃金負担額の一部を助成することで、失業の予防を目的として設けられた制度です。（雇用保険法第６２条、雇用保険法施行規則第１０２条の３）

　この制度の利用申請をした事業所は、１月だけで１万２６４０カ所、対象となる従業員は８７万９６１４人にのぼることが２月２７日、厚生労働省のまとめで分かりました。１月の申請数は２カ月前と比べると、それぞれ６４倍と９９倍に急増しています。このままのペースで申請が増えると、厚労省が想定している０９年度の予算額を大幅に上回る可能性が出てきました。

一時帰休

　職員研修の中で『一時帰休』の意味を問いました。遠慮して答えなかった参加者がいたかも知れませんが、大半の皆さんは、「初めて聞く言葉？」、そんな雰囲気を隠しませんでした。

　不景気などによって会社が従業員を一時休業させ操業圧縮を行うことを『一時帰休』といいます。この場合、従業員は休職となりますがその地位を失うことはありません。労働基準法第２６条の「使用者の責に帰すべき自由による休業」にあたり、賃金の一部を補償しなければなりません。法律では通常賃金の60%以上を保障するように定めています。一時帰休中のアルバイトは、会社都合ですからやむを得ないといえるでしょう。

　『一時帰休』は民間だけの話、そんなふうに思っている人はいませんか。米カリフォルニア州では、２月から来年６月までの１７カ月間、月２日の一時帰休を義務付けました。対象者は２３万８千人にもなります。（次回は、この関連として『雇用調整助成金』について配信します）